研究室に行くのが疲れた?大学院でのストレスとの向き合い方



研究者としてワークライフバランスを保ちながら働くのは難しいですよね。

研究は好きだけど、他の人ほどがんばれない、がんばりたくない自分がいる。

研究室に行くのが疲れた、そしてストレスを感じてきている。

一体、どのように研究と向き合えば良いのでしょうか。



ハードワークが期待される研究室の場合、1人だけプライベートや家族との時間を優先するのはかなり勇気が要ります。

ですが、自分が犠牲にしたくないものを決めておけば、自分にとって大切なものを優先する勇気が出てくるかもしれません。



研究や研究室によるストレスを軽減するために重要なのは、自分に合う「研究との向き合い方」を見つけることだと思います。








研究との向き合い方2タイプ


「研究との向き合い方」について、僕は2つの考え方を経験してきました。



1.研究の成功=人生の成功

・研究を成功させるためなら、全てを捧げる。

・なにがなんでも研究者として生き残ろうとする。

・研究を最優先。



2.研究=人生を楽しむためのツール

・研究を成功させたいけれど、人生を楽しむこと(プライベートの時間・家族との時間・自身の成長)は犠牲にしない。

・研究をやめる覚悟はできている。

・人生を楽しむことを忘れない。



自分がどんな生き方をしたいのかを知っておくと、いろいろな決断がしやすくなると思います。

どのように研究と向き合いたいかわからない」というのは危ないと思います。



例えば、心の奥底では「研究をするのは人生を楽しむため」と感じているのに、その自覚がないと、他人のスタンダードに流されてしまうことだってあるかもしれません。

その結果、休みも取らず、がむしゃらに働き続け、自分が本当に大切にしたいものを犠牲にしてしまうこともあるでしょう。

そういう状況では、自分の心 vs. 自分の行動にミスマッチが起き、ストレスが溜まりやすくなると思います。

人生を楽しむために研究をする」としっかり自覚できていれば、「仕事量をちょっとスケールダウンして、週末の夜は友達と遊ぼう」と軌道修正をすることができます。

自分がどのような「研究との向き合い方」をしたいのか明確にしておくことが大切ですよね。



僕は、上記2タイプの向き合い方を経験し、今は「研究=人生を楽しむためのツール」と思うようになりました。

しかしそれは現時点での答えであって、数年後には「研究の成功=人生の成功」の考え方に戻っているかもしれません。

でも、このことについてよく考えたり、タヌキと話し合ったりしたことは良かったと思っています。




「研究の成功=人生の成功」について



テクニシャンとして働き、研究者を目指していた頃や大学院に入りたての頃は「研究の成功=人生の成功」と考えていました。

正直、考え方として楽なのは「研究の成功=人生の成功」のほうだと思います。

なぜかというと、働き方のバランスや物事の優先順位を考えなくても良いからです。

「研究の成功=人生の成功」という向き合い方ならば、何か選択を迫られた時、研究を優先すれば良いのです。



一方、研究=人生を楽しむためのツール」という向き合い方では、いろいろなことのバランスを考え始めないといけません。

「人生を楽しむためには何時間働くのが良いのか?」

「どのように働けば、時間を効率的に使えるのか?」

「研究者として生き残ることができなかったときのために、どのような対策をしておけば良いのか?」

などなど。。。



九州大学の中山敬一先生は「研究の成功=人生の成功」という考え方を推奨されています。

http://www.bioreg.kyushu-u.ac.jp/saibou/freq_q.html#p5


具体的に言うと、教授がまだ若くて、ここ2~3年で業績が急速に伸びているところがお勧めです。後は土日や深夜にどれだけ研究者が実験しているか、もいい指標となります。土日・深夜に電気が消えているラボにいいラボはありません。


科学において(というか競争的な職業全ては)結果=才能 × 努力です。よく学生への例え話に使うのですが、科学は福引きのようなもので、赤い玉がでることが成功、白い玉は不成功とすると、才能=「赤い玉が含まれている確率」で、努力=「回す回数」です。しかし、才能が同じならば、より多く回した方が、赤い玉が出る確率が高いに決まっています。個々の例を見れば、赤い玉が1000個に1つでも、1度目で赤い玉を出す人もいるでしょうし、1000個に500個くらい赤い玉が含まれているにも関わらず、何回やっても出ない人もいるでしょう。でも、例数を増やして客観的に眺めるとき、これらの例外は希釈され、多く回したヤツ(つまりより努力したヤツ)が勝つ、という一般論が導けることは明白です。


私は「研究生活で勝つことが幸せな人生だ」と確信せざるを得ません。



僕は、中山先生のアドバイスはごもっともだと思います。

「がんばっている人 vs. がんばっていない人」では、「がんばっている人」のほうが成功率が高いはずです。

そして周りの人も「がんばっている人」を応援したくなります。



研究生活で勝てば、幸せな人生が待っている。。。

研究でまともに勝てていない自分には、この成功がどんな価値を自分に与えるのかまだわかりません。

しかし周りを見ていると、「研究で勝てている人」でも「幸せな人 vs. 幸せではない人」がいることは確かです。



ポスドク先を決めるときに「人生を楽しむこと」を優先した話


博士課程の中盤ごろから、人生を楽しむために研究をしよう」と考えるようになり、ポスドク先を決めるときに、今の自分の価値観に合った決断をすることができました。



僕は日本が好き。。。というより、日本での暮らしが「心地良い」と表現した方がしっくりきます。

僕は幼少期から大学卒業までをアメリカで過ごし、日本で社会人生活を数年送った後、日本の大学院に進学しました。

日本暮らしが「心地良い」と思うのは、日本とアメリカ2つの国に住んでみた僕の感想です。



人生の大半をアメリカで過ごしたわけですが、アメリカでマイノリティーとして暮らすことを「心地良い」とは思えませんでした。

まず、体のサイズが違います。

日本ですら小さいほうなのに、アメリカだと小人サイズになってしまいます。



性格のサイズも違いました。

自己主張の国・アメリカでは、僕のこじんまりとした性格は嵐の中の小船でした。

たくさんの苦い思いをしました。



大学卒業後「1度日本に行って暮らしてみたい」と思い、単身来日しました。

日本では、体格も性格も僕みたいな人がいて、「心地良いな〜」と初めて思えました。

同時に「あ! 俺はアメリカに合っていなかっただけなんだ」と気づくことができました。



こんなに居心地の良い日本で暮らせているのに、ポスドク先を探す上では「海外が良い」という思いが沸き上がってきました

それは「ワークライフバランスを重視した働き方」や「研究との向き合い方」を学んでみたいと思ったからです。

僕は日本が好きですが、日本での働き方に関しては、共感できない部分や疑問に感じる部分が少なくありませんでした。



日本で「ワークライフバランスの必要性」が見直されてしばらくになりますが、研究者の働き方に関しては、「ワークライフバランス」は未だ実現されていないと思います。

そんなわけで、僕はポスドク先を探す際、ワークライフバランスが充実していると言われているヨーロッパに的を絞りました。



https://www.slideshare.net/atsutoonoda/ss-79539348







ぶっちゃけ、自分の研究分野でトップを目指すのであればアメリカへ行くべきだと思います。

アメリカなら候補ラボはたくさんあり、研究環境も整っています。

しかし、ヨーロッパの研究スタイルを経験してみたいですし、ヨーロッパをいろいろ旅してみたい。 



そんな自由な視点でポスドク先を探すのもアリなんじゃないかなと思います。

自分が甘っちょろいだけかもしれませんが。。。

でも、ワークライフバランスを重視した研究スタイルを実践することで、研究者として生き残ることができなければ、それはそれで良いという覚悟はあります。

しかし理想としては、ドイツで「効率の良い働き方」や「ワークライフバランスを重視した研究スタイル」を身につけ、日本でそのような働き方を推奨するラボを運営することです。 



アメリカでの苦い経験があるから、「ドイツでも嫌な思いをいっぱいするんじゃないか。。。」と、不安がいっぱいあります。

しかし、それでも行く価値がある!と信じています。


まとめ


運良くドイツでポスドクとして採用されることになりましたが、「研究をするのは人生を楽しむため」という考え方で研究者として生き残れるかどうかはわかりません。

しかし、この考え方に今の自分が納得していることは確かです。

みなさんもぜひ、自分が実践したい「ワークライフバランス」や自分に響く「研究との向き合い方」について、1度考えてみてはいかがでしょうか。



院生の英語学習、節約、息抜きに、コスパ最高のサービスに関するレビュー記事を書いていますので、興味がある方はぜひ参考にしてください。



具体的な休み方に関してはminonさんが素晴らしい記事を書いていますのでおすすめです!








追記
この記事を書いたあと、twitterで多くの反応をいただいたので、新たな記事としてまとめました

たくさんの考え方に触れられると思うので、是非参考にしてみてください。




0 件のコメント :

コメントを投稿

カテゴリー