人見知りの一人ぼっち国際学会:自分のポスドク先の選び方にとまどう、学会3日目午前中


よろしければ学会1日目から読んでください。
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学会は4日目の午前中まで続くが、3日目が僕にとって学会最終日だ。

4日目のフライトは午前中のものしかなく、4日目の朝のセッションに行くのはあきらめていた。



学会3日目の朝、時差ボケの影響は続き、質の悪い睡眠から目覚めた。

しかし2日目のポスター発表で、A教授と話して自分のことを知ってもらえたから、この学会の最低合格ラインは達成できた。

その影響か、体は疲れていたが、メンタルは割とフレッシュだった。



朝からトークがたくさんあった。

これまではトークを真剣に聞く余裕もなかったが、集中してトークを聞くのも面白い。

特に引き付けられるようなトークがあった。



M教授だ。



プレゼンが苦手そうな教授のトークだと聞く側にも緊張が伝わり、トークの内容よりも発表者のことが気になってトークに集中できなくなってしまう。

しかしM教授には余裕と温かみを感じ、運転が上手な人の車の助手席に乗っているかのように、心地よく研究の話に引き込まれた。



M教授の論文は以前からたくさん読んでいた。

トークを聞いていて、いくつか聞いてみたいことがあった。

普通なら「ま~いっか」、と聞くことをあきらめる。

しかし前日の見知らぬ人に話しかけることができた成功体験が勇気となったのか、セッションが終わってからM教授に質問をすることを試みた。



しかしM教授はセッションが終わっても人気者だ。

コーヒーエリアにたどり着く前のエリアでM教授は円陣を組んで4人で議論をしている。



一人になる瞬間を見逃さないよう、弱った獲物が力尽きるのを待つハゲタカのように、僕は円陣の周りを飛び回り、タイミングを見計らった。



しかし円陣の話は弱まらない。

延々と続く。



弱った獲物が力尽きる前に僕が飛び回ることに力尽きた。



ハゲタカ作戦は失敗。



僕はハゲタカからトラに変身し、鋭い眼差しで茂み(ちょっと離れたベンチ)からチャンスを待つことにした。

話は一向に終わらなそうだ。



しかし円陣の中の一人がその場を去ろうとするような瞬間があった。



もうこれくらいのチャンスしかないと思い、その人と入れ替わりで円陣に突入してみた。

円陣に残っている2人とM教授は「何だコイツ」、という表情で僕を見ている。



この変な感じをなんとか解消しないといけない。

“I’m sorry to bother you, but can I ask you a question when you have time?”

とM教授に言ってみた。



彼は「ん?」という顔で僕を見ている。



僕の声が弱すぎて聞こえなかったのだ。



もう一回同じことを言ってみた。



しかしなぜか緊張で声を張れない。

また「ん?」という感じでM教授は僕を見ている。



3回目でようやくメッセージが伝わり、円陣での話が終わったら、質問に答えてくれるとM教授は優しく言ってくれた。



僕はさっきいたベンチに戻った。



数分後にM教授は僕の待っていたところに来てくれた。

僕の手はコーヒーカップを持っていたが、変なポジションで腕が硬直してしまい、小刻みに震えていた。

言葉はなんとか出る。



言葉につまづきながらも質問をした。

簡単な答えのあるような質問ではない。

まだ誰も良くわかっていない現象についてのクエスチョンだ。

M教授にとっては迷惑な質問かもしれない。



しかしM教授ほどの経験値の持ち主はどのようにこのことについて考えているか知りたかった。

M教授は僕の質問に丁寧に答えてくれた。

たくさんのひきだしを持っているような底知れぬ知識を感じた。



おまけに自分の研究のこともちょっと話すことができ、アドバイスももらえた。

そして、「俺の開発したXが君の研究に役立つかもしれないから、メールくれたら送るよ」とM教授は言って、去っていった。

めっちゃ良心的。



ポスドク先候補#1だったA教授の1位の座が一瞬にしてグラついた。

M教授のほうが話していてなんとなくフィーリングが合った。



「しかし場所的にはA教授のラボのほうが魅力的なのだ」と思っている自分がいた。



そう、僕はヨーロッパに住んでみたいのだ。

ヨーロッパのどこかの国に住んで、休日は近隣の国を観光するという数年間を過ごしてみたいのだ。


僕は教授とのマッチングよりも、場所の良さでポスドクを決めていることに気づいた。

「俺って、本当に研究好きなのか?」と研究に対する熱意よりもヨーロッパで観光を楽しみたい熱意のほうが強いことに対してちょっと違和感を感じた。



何を優先するかをもう一度考え直す必要があるかもしれない。

しかしこのような重要なことを後回しにするのは得意なのだ。

また今度考えよう。(忘れよう)



ランチの時間がやってきた。

食事の列に向かうと誰かに見られている気配を背後から感じた。

ふりむくと昨日会ったCさんだった。



“Hi!”と彼女は言った。

彼女も一人だった。

“Have you recovered from your jet lag?”と聞いてみた。

少しはマシになったらしいがまだ夜はうまく寝れていないようだ。

僕も寝れないし、起きれない、ということを話した。



食べ物が置いてある場所に着いた。

サラダ、ポテトと野菜の炒めもの、豆腐、ライス。

ビュッフェから食べ物を盛った。



Is it ok if we eat together?” とCさんに聞いてみた。

Of course, but can we eat outside?”とCさんは僕に聞き返した。

僕はもちろんOKと言った。



学会会場が寒かったらしく、サンダルを履いていたCさんの足は冷たくなっていたらしい。

お昼の時間、外は結構暑い。

しかし外のテーブルも結構混んでいる。



中東系の男性が一人で座っていたテーブルに行き、“Is it ok if we join you?” と一緒に座っていいか聞いた。

彼は、Of course” と言った。



A君はサウジアラビアで働いているポスドクだった。

A君も遠いところからはるばるこの学会に来ていた。

自己紹介が終わったころにCさんは僕ら3人の共通点に気づいた。



全員のプレートには野菜、豆腐やパンしか乗っていなかった。



偶然にも全員ベジタリアンだということにCさんは気づいた。



僕は厳格なベジタリアンではないが、オプションがあればベジタリアンメニューを選ぶ。

子供のころから動物が好きで、肉を食べるときには動物の姿が浮かんできて、肉の味を楽しむことができなかった。

大人になってベジタリアンとして生きる人にも会うようになり、自分でもやってみた。

以前は厳格なベジタリアンになろうとして、醤油もカツオだしの入っていないものなどを使っていた。

しかし1年ほどでめんどくさくなって、もっとゆるいベジタリアンになることにした。



最近はたまに魚を進んで食べるから、正確にはぺスカタリアンなのかもしれない。

しかし知人などの家に行くときにもベジタリアンぶりを貫く芯の強さはなく、そのような場合はお肉を美味しくいただいている。

それくらいが僕にとってはちょうどいい。

今となってはただの野菜好きなのかもしれない。



Cさんは特に動物好きという訳ではなく、肉の味が好きじゃなくて、子供のころから家族の中でも一人だけベジタリアンだったらしい。

しかしそれに影響されて、妹もベジタリアンになったらしい。



A君は自分は“Forced vegetarian”だと言っていた。

肉に対する食べ物アレルギーがひどいらしい。

本当は肉を食べたいベジタリアンだった。



みんな、別々の理由で肉を食べるのを避けている。



同じ分野で研究をしている人でも研究をする理由は十人十色だということと似ているのかもしれない。

「ヨーロッパに住んでみたいという理由で研究室を選ぶのも自分にとっては正解かもしれない。」と思うも、そう簡単に自分は説得できない。

やはり後でちゃんと研究室探しで優先すべきことを考えてみよう。(忘れよう)



各自のベジタリアンぶりを話し合っていると、ポスドク先候補#1のA教授が現れた。



一人でこっちに歩いてくる。



おっ、なんだなんだ。



“Can I eat with you guys?”
と僕らに言った。

もちろん僕たちはOKと言う。

A教授はCさんとA君に自己紹介をして、僕には“Hi, カメ“と言ってくれた。

外人にとっては覚えにくいだろう僕の名前を覚えてくれていた。。。



感動。



これが昨日、教授がポスターから去っていくときに言った“Let’s talk again later”のことか?

あっちから来てくれて助かった~。

しかし、CさんとA君がいるこの場で雇用の話をするのか?



A教授は丁寧に皆の出身、研究している内容とかを聞いてくれた。

僕らはA教授の研究室や研究所について聞いた。



A教授は丁寧に答えてくれた。




A教授が住んでいるドイツの町のお気に入りの場所や他の国へのアクセスのことを話してくれた。

3時間電車に乗れば、違う国を観光できるらしい。

そう、それがしたいんだよ~。



A教授は僕をリクルートするためにその話をしている訳ではないが、僕にとってはそれが一番良い宣伝文句だ。



来年ごろにA教授のラボでポジションに空きがあるかくらいは聞きたかったが、そういう話にはならなかった。



A教授はI have to make a phone call, but it was nice talking to all of you.” と言って去っていった。

すごく誠実でまじめな人柄を感じた。



これがこの学会でA教授との最後のやり取りとなった。



なんとも宙ぶらりんな感じである。



しかしA教授にポスターを説明することができ、ランチも一緒に食べることができた。

これくらいできればとりあえずこの学会のミッションは成功だ。

ポジションに空きがあるかは、ちょっと落ち着いてからメールで聞いてみる作戦に移行する。

ランチが平和に終わり、学会の終わりが近づいていた。



しかし学会が終わる前にまだポスターセッション#2とバンクエットが残っていた。



そして学会でまだ会ってみたい人たちがいた。

Abstract Bookによると僕以外に2人の日本人が参加していた。

日本人っぽい2人組は見かけていたが、まだ遭遇していなかった。

その2人のラボは国内で僕が一番興味を持っているラボだ。

できればラボのことを聞いてみたい。




学会3日目午後の様子はコチラ




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