博士課程で結婚した人、年上大学院生におすすめの本


最近は一日がんばったご褒美として寝る前に小説を読んでいます。

寝る前に読むということで早く寝床に行くようになり、この習慣は早寝早起きに貢献していると思います。

たまに夜更かししてしまうこともありますが、大抵の場合は本を読んでいると目がショボショボしてきて眠くなります。





そんな中、最近読んだ村田沙耶香さんの「コンビニ人間」が面白すぎて紹介せずにはいられませんでした。

思わずにやけたり、クスッと笑ってしまうような本です。

活字を読みながら笑うなんてことはまずないタイプなのですが、小説を読みながら初めて笑いました。



2016年に芥川賞を受賞した作品なので、「今ごろ?」と思うかもしれませんが、まだ読んでない人がいればおすすめしたいです。


コンビニ人間 (著者:村田沙耶香)



 

この小説は日本社会のちょっと変なところをコミカルなベールに包み、鋭く指摘しています。

日本社会の凝り固まった成功の概念をもう少し柔らかくして多様性のある成功の概念を創ろうというのが村田沙耶香さんの意思だと思います。



日本社会の成功概念とは有名大学に行って、学部卒か修士卒で大手企業に就職して、結婚して、子供を産んで、子供を自分のように育てることが一般的ではないでしょうか。



ちょっとでも順番を間違えたり、この成功のレールから外れてしまうと、家族や周りの人、そして日本社会が無理やりこのレールに戻そうとするように思います。



博士課程に進んだ人もこのようなレールから踏み外してしまい、社会から異物として扱われた経験もあるのではないでしょうか。



例えば、このようなやりとりに心あたりがある方もいるのではないでしょうか。



親戚:「あら、あなたアラサーなのに、まだ学生さんしているの?」

僕:「はい。。。」


親戚:「あらま~。いつまで学生さんをやるつもりなの?」


僕:「。。。(いつ卒業できるかは自分でもわからないので黙り込む。。。)」




僕は一旦大学を出てから社会で働き、それから博士課程に入りました。


それで年齢も普通の博士課程学生よりは上で、結婚もしています。

大学院生で結婚しているとなると他のラボメンバーにも研究室の中で異物扱いされることもあります。



新人ポスドク:「Aさんから聞いたんすけど、俺より年上だったんすか!?」

僕:「お~。そうだったんですね。でも全然気を使わないでください。」

新人ポスドク:「え!?でもその年でまだ学生なんすか?」

僕:「はい、あと結婚もしてます。」


新人ポスドク:*宇宙人を見たかのようにびっくりする*

僕:「。。。(そんなにコイツ人生終わってるっていう目で見なくても。。。)」



新しいポスドクさんが来るたびにこのようなやりとりを繰り返しています。

やはり、彼らの経験上では博士課程で一つのタイプの人間しか見たことがないのだと思います。

「日本の社会、もうちょっと多様性を受け入れろよ!」と思うこともありますが、こんなことを念じても何も変わりません。



結婚に関してもある年齢になれば結婚のプレッシャーが波のように押し寄せてくると思います。

結婚なんかしたくないと思っている人も、「いつまで一人でいるの?だれか紹介しようか?」という質問を親戚に何回も聞かれているのではないでしょうか。



この本は、「好きな道を選んで何が悪い?おかしいのは自分ではなく、日本社会だ。」と思わせてくれます。

日本社会の概念を変えることは難しいですが、「自分もそうならなきゃ」とか「自分がおかしいのかな?」という思いを忘れさせてくれるような本です。


本の内容としては「コンビニの仕事が大好きなら、コンビニ店員として一生働いて何が悪い?」というものです。

しかし、日本の成功概念に当てはまらない道を歩んでいて、社会から異物扱いされていたら、「コンビニ人間」で描かれている日本のちょっと変なところに共感できる部分が多くあると思います。




社会の期待や視線による疲れがたまったときは自分の心を癒すために「コンビニ人間」を読んでみてはどうでしょうか。







また、自分の脳内にも凝り固まったいろんな概念がこびりついていることに気づかせてくれるような本でもあります。

僕も知らないうちに自分の概念を押し付けて他の人を不快にしているかもしれません。

たまに「コンビニ人間」を読み返して、脳内をリセットして、周りの人がそれぞれの自分らしい生き方を追求することを応援できるような人になりたいです。

0 件のコメント :

コメントを投稿

カテゴリー