アメリカとドイツでの研究留学〜海外ポスドクの給料、必要な語学力、治安について~



現在タヌキはアメリカ西海岸、カメはドイツにポスドク留学中です。

今回のブログ記事では、海外研究留学をする上で不安要素になり得る「必要な語学力」「治安・安全性」「給料」に焦点をあてながら、アメリカとドイツ、2つの異なる海外ポスドク生活について紹介したいと思います。

僕らの体験が海外留学や海外で研究をすることに興味をお持ちの方の参考になれば嬉しいです。






*🐢カメ🐢*:それでは、始めましょう~。

タヌキ~、久しぶり!(ブログ上の対談では)



*🐻タヌキ🐻*:どうも久しぶり~。

卒業以来めっきりブログからも離れてしまいました。

今回のテーマは海外留学だよね。まずどこから始めようか?



留学を決めた理由



*🐢カメ🐢*:ブログのこと忘れないでくれ~!笑

やっぱりまず聞きたいのは、タヌキは転職エージェントとやりとりもして、国内企業への就職も考えていたと思うんだけど、最終的に海外ポスドクの道を選んだ決め手はなんだったの?



*🐻タヌキ🐻*:それは正直自分でもわからない部分がある。

だって、留学って大変な事ばっかりじゃん?笑


でも考えるうちに、一つわかってきたことは、海外に行くということが自分の中で乗り越えてみたい目標だったんだと思う。


自分は過去記事にも書いたように、一度留学失敗しているんだよね。

挑戦すらできなかった。


で、博士課程の5~6年間で、なんとなくなぜ失敗したのか自分でも理解してきたんだよね。


例えば積極性だったり。

英語ができないことのコンプレックスだったり、自分よりも頑張る人の近くで仕事するとか。


アメリカで研究することは、そういった自分の自信のない部分とか苦手な部分がセットになって向かってくる気がして、もろに直面するのが怖かったんだと思う。

で、今回縁あって、ポジションを紹介してもらった時、やっぱ不安の方が大きかった。

でも、今度こそ乗り越えないと、もうチャンスは無いかな~って思った。

20代の時も踏み切れず、30にもなって同じように踏み切れなかったら、3回目チャンスが来てももう変われないかなって。


だから正直なところ、金銭面とか価値観とか家族のこととか、自分の個人的な人生設計的には企業行った方が様々な面で合理的なんだけど、そういった「賢い自分」は脳内から排除して行くことにしたんだ。笑



カメは結構最初の段階からヨーロッパに絞ってたけど、なにか理由はあったの?



*🐢カメ🐢*:うん、確かに、消極的な決断をしちゃう時、1回目はその時の状況とかを理由にできるけど、2回目以降は、だんだんそういう思考や決断がパターン化していくのが怖くなるよね。



自分の場合は、ヨーロッパではワークライフバランスが保たれているっていうイメージがあって、効率の良い働き方を学びたい、というのが大きかったのかもしれない。

「ヨーロッパに住んでみたいな~」っていう憧れの気持ちも大きかったと思う。

そこで、安全面、研究環境、英語が通じる度合い、その国や文化への自分の興味とかを考慮したら、国としてはイギリス、ドイツ、スイスあたりが良いんじゃないかなって思ったんだ。



「イギリス/ドイツ/スイス 〇〇研究分野」で検索をして、興味あるラボをいくつかリストアップした後、上から順にそのラボの過去メンバーにメールで情報収集をし始めたんだ。

ドイツのラボが1番印象が良かったから、120%の本気モードでそこだけにとりあえず応募してみた



そうしたら幸運にも学会で教授と会えることになって、その後スカイプ面接をして、現地面接に呼ばれて、ポスドクとしてのオファーをいただいたっていう流れだった。

応募の段階ではファースト論文がなかったから、熱意が通じたのかもしれない。



*🐻タヌキ🐻*:確かに場所っていうのは大事だよね。


自分もアメリカ西海岸に住んでみたいってのはあったと思う。


もちろん研究者として成長するためというのもあるけど、全てを数値化して合理的な決断ができるわけでもないからね。


「~~へ行ってみたいな」っていうような直感というか、純粋に前向きになれる場所をというのは大事かもしれない。



*🐢カメ🐢*:うん、どこか新しいところに住むとその土地のエネルギーとかその土地の人の性格を少し吸収できると思うんだよね。

ヨーロピアンになりたいな~(笑)。



海外留学で必要な語学力



*🐢カメ🐢*:そういえば、タヌキは前の英語学習の記事で、チャンスをものにするには海外に飛び込むための英語力を「閾値」まで上げないといけない、って書いてたよね。

アメリカに行く前と後で、その英語力の閾値の印象は変わった?アメリカでなんとかやっていくには実際どれくらいの英語力が必要だと思う?




*🐻タヌキ🐻*:

過去記事なので少し補足するね。

前の記事で英語が公用語の職場で働くために必要な英語のスキルについて書いたんだ。



前記事では
  • 英語で自分のやりたい事を述べる会話スキル
  • 英語で履歴書を書いたり、エッセイを書くライティングのスキル

を最低限必要な能力として、一度入ったら自家発電的に伸びるという意味も込めて「閾値」として挙げたんだよね。



これについては良い意味で今も変わらないかな。



英語が心配で海外に出られないという人でも、上記の2つをクリアしていさえいればOKと考えれば良いと思う。


そういった技能レベルの英語とは他に、アメリカでは日本よりポジティブさとか自分の意見をしっかり述べるっていうことに重点を置いている気がする


「自分の意見をしっかり述べる」というのは何百回と留学経験者が言ってる超ありきたりな言葉なんだけど、この言葉は少し足りないと思ってて。


感覚的には発言しないとか意見を述べないってのは、バスケで何もしてない選手になった気分にさせられるんだよね。


周囲ではみんなが激しくパスワークをしているのに見てるだけ、どれだけコート内で頑張って走っても、チームの輪に入れてないという感覚がすごく似てる。


カメはアメリカで20と若干年過ごしてたからなんとなくわかるかな?俺の言いたいこと。



*🐢カメ🐢*:うん、このことはよ~く分かるよ(涙)。



タヌキが挙げた2つの英語スキルがあれば、スムーズなスタートが切れそうだね。

アメリカでやっていくために最低限必要な英語力って、実はみんなが思ってるほど高くない気がする。

自分の両親は中学英語レベルくらいでアメリカに渡ったから、楽観的に考えているのかもしれないけど。



でもアメリカ社会に溶け込みたければ、タヌキの言う通り英語力以外の「主張力」が必要になってくるのは間違いないと思う。

タヌキのバスケの例えを続けると、アメリカではみんなとにかくシュートしまくってるんだよね。

パスを期待して待っていたら、何も言わずに会話が終わってることも多いんじゃないかな。



たぶん日本だと、会話をしているグループがあれば、その中の何人かは自己主張タイプの人もいると思うけど、中には「あれ、Aさんまだ話してないから、ちょっとAさんにも話を振ってみよう」みたいに考えて実際に話を振ってくれる人もいると思うんだよね。

こういう人は欧米にはほとんどいないと思う。



自分としては、どんな会話でも「あの時こう言えば良かったな~」とか、「あ~言って、あの人をちょっと傷つけてしまったかな~」とか後悔を感じることが多いから、発言する時はできるだけ「間違っていない、他の人を傷つけない発言」に徹しようとするんだよね。

このことを意識しすぎるとパッと発言できなくて、自分は20年くらいアメリカで過ごしたけど、グループ会話ではほとんど発言できないよ(笑&涙)。



でもそんな自分でもすっごく頑張れば、なんとかアメリカ人ぽく振る舞える時もあるから、自分なりのコツを書いてみるね。



1. なんでもかんでも日本と絡める

日本のエキスパートはいつも自分になるから、なんでもかんでも日本と絡めて、自分が話せる土俵に持ち込む。



2. パスをもらったら絶対無駄にしない

もし会話の中で奇跡的に話を振ってもらったら、答えを引き延ばす。


質問してくれたのに、“Yes, I think so” の返しだけだと、きっともう2度と話を振ってもらえなくなる。

少しでも関連することを付け加えたり、質問に答えられないなら、関連した話題に変えて話すと良いと思う。



3. 雰囲気をアメリカンにする

表情を豊かにしたりジェスチャーを使って話してみると、あんま話してなくても存在感は出せると思う。




4. シーンとなった隙があれば誰かに質問をする

何か主張するのはハードルが高いかもしれないけど、シーンとした瞬間に何でもいいから質問をすると、何かは発言できる。


シーンとなった瞬間こそチャンス到来!と思って、思い切って質問すれば、答えてくれるはず。



5. 飾らずにいる

英語がそんなにできなくてもめっちゃ溶け込んでいる人っているんだよね。


そういう人の共通点は「飾らずにいる」ことだと思う。

自分の場合どうしても「ちゃんとした人になろう」みたいな心構えがあって、それが相手にとって壁に感じられるのかもしれない。

人を頼ることを恐れない人とか、失敗を恥ずかしがらずに話せる人は英語力に関係なく溶け込めるんだと思う。

これは自分にとっては卒業していない課題ですね。



6. あきらめる(笑)

外交的な人を演じるのは自分にとっては疲れすぎるから、「ま、いいか」とあきらめる道を選んでしまった。


でもそうやって割り切ると、1対1でリラックスした会話ができる状況を探し出すスキルとか、おとなしめのアメリカ人を見つけるスキルとかが養われてくるんだよね(笑)。



日本でも海外でも、社会の一員として外交的に人と接することは必要になるし、ここぞというときに外交的な人に変身するスキルは磨いていかないとね。

面接、商談、学会などでは存在感を出さないといけないときもあるからね。

タヌキならコツを掴めばきっと馴染めると思うんだけどな~。



*🐻タヌキ🐻*:すごく役に立つアドバイス、(泣)。


個人的には「パスをもらったら絶対無駄にしない」ってのが一番苦手。


じつは英語がどうこうというレベルでなくて、日本語でも苦手(笑)。



色々留学を目指しているひとがビビるようなこと書いてしまったのでいい部分も書くね。


さっき話したようなことは、裏をかえせば少々外れてても自分の意見をポジティブに表現すれば、周囲は結構寛大に受け止めてくれるってことでもあるんだよね。


そういったポジティブさはアメリカの良いところでいる間は吸収したいよ。



*🐢カメ🐢*:俺も言語関係なくグループ会話とか苦手だからな~。

いろいろなことがカルチャーショックだと思うけど、治安のことはどう?





アメリカとドイツの治安



*🐢カメ🐢*:日本からアメリカに留学を考えている人は安全性も気になると思うんだけど、半年アメリカで過ごしてみてどう思う?



*🐻タヌキ🐻*:安全性については自分の住んでいる南カリフォルニアに限ればそこまで心配いらないかな。

夜に出歩いていてもそんなに変な気配はしないし、実際結構歩いている人もいる。

自分の住んでいるエリアは犯罪率もかなり低い。



でもすべてのエリアが安全というわけでもなくて、家賃を削ると治安はすぐ悪くなる。

crimemapping.comとかで気になる研究機関の周辺の治安は調べておいた方が良いと思う。


カリフォルニアの場合、男ひとりで留学するなら治安が最悪のところは避けるとしても、超安全な場所でなくても良いと思う(高級住宅街とか)。

大学からある程度離れた、治安の中の上あたりの場所から通えばいいかな。

その場合は都市部でももしかしたら$1300-$1500ぐらいの部屋もあるかもしれない。



一方で女性で単身、奥さん旦那さんや子供を連れていくなら、治安を優先させなければいけないと思う。

治安と家賃は見事なまでに相関するので、この場合は選択が少し難しくなってくる。


治安・利便性・家賃・通勤手段・予算がかなり複雑に絡み合っているので、現地で生活していない人が最適解を導き出すのは相当難しい。



どうすればいいのかというと、現地のポスドクを紹介してもらうのをおすすめする!

重要なのが、「同じOR似ている境遇のポスドク」を紹介してもらうこと。


中には実家が超リッチなポスドクもいるし、奥さんが外科医とかもいるから、そういう人のアドバイスはそもそも参考にならない。

「家買うか借りるかどっちにするの?」って言われたことある(笑)。


ポスドク6年目とかだと年収も100万ぐらい違うからそれも参考にならない。

あと、ポスドクでもアメリカ人と外国人ではビザとかで税金の額も違うケースもあるから注意かな。



自分が奥さん旦那さんと二人暮らしでアメリカで働けないなら、現地で同じパターンの人を紹介してもらう。

子供がいるなら、同じぐらいの子供がいる人を紹介してもらう。



いきなり現地の人から情報をたくさん引き出すのって大変なんだけど、何かの練習と思ってやってみるのがいいかな。



ところでカメはまだドイツへ行ってからそこまで時間は経ってないけど、ドイツとアメリカ両方を見たわけじゃない?

例えばこれからポスドク留学とか、大学院留学を考えている人にとって、ドイツとアメリカ、学生や研究者にとってどちらのほうが居心地がいいとかあるかな?



*🐢カメ🐢*:う~ん、それは難しい質問ですね~。

多分ほとんどの人は研究留学をするとなると、「X教授のもとで研究してみたい」っていう思いで研究室を決めているんじゃないかな。

もしも憧れの教授がいて、その研究室がブラックではないという下調べができているのであれば、国のことは考えずにその研究室に行くのがベストだと思う。

俺みたいに行きたい場所を絞ってから、「この国の中で1番自分に合いそうな研究室はどこかな~」って呑気に考えている人は少ないような気がするけど、どうなのかな。。。



でも、いくつか候補があって「どの国に行くか」っていうのも、研究室を選ぶファクターになるってケースもあるだろうから、自分なりの印象を書いてみるね。



1.語学力を考慮すると、僕はアメリカがおすすめ

ドイツに科学研究で留学をする場合、職場の公用語は英語になるケースがほとんどだと思うんだけど、職場から一歩外に出れば、日常生活は全部ドイツ語になるんだよね。

日本から来る人にとっては、英語も上達しないといけないしドイツ語も学ばないといけないという意味でハードルが高くなると思う。



自分はドイツ語が全く話せないから日常生活は苦労することもあるよ。

レストランとかお店に行っても英語を話せない・話したくない店員さんもいるからそういうときは身振り手振りでなんとかやり過ごしている。。。

ドイツ語のメニューも読めないし英語が併記されてないケースも多いから、そんな時は翻訳アプリに助けられてる。

医者を探してた時、クリニックに電話をして新しい患者を受け入れているかどうか英語で聞いても、受付の方が英語を話せないケースが多くて、医者探しも苦労した。。。

でも公共機関の担当者は英語を話せる人もほぼ確実にいるから、今のところはなんとか英語だけでも生き延びられてるよ。



2. 治安に関して、僕はドイツがおすすめ

日本に比べると、どこに行ってもちょっと怖いって感じがするかもしれない。

でも不思議なことに、数か月も経てば安全面のことはほとんど気にならなくなるんじゃないかな。

もちろん危ないエリアは避けるとか、夜は1人で出歩かないようにするとか、自分の身は自分で守るっていう意識は常に持っておかないといけないけど。



まだそれほどドイツに住んでないから第一印象になるけど、アメリカと比べると正直ドイツのほうが安全かなと感じてる。

ドイツには規則を守る文化があって、それが日本と似ているから個人的には安全に感じるのかもしれない。

バスとか電車の中も割ときれいでゴミもほとんど落ちていないし、そういう意味でなんとなく日本に似ているかも。



アメリカの街中だとそこらへんにポイっと捨てられたゴミはたくさんあるし、横断歩道が赤でも渡るし、規則に対する意識がかなり緩いと思う。

もちろんこれが直接治安に関連してるわけじゃないんだけど、自分の中では規則を守る安全・安心な環境っていう印象につながってるんだよね。



だけどそんなドイツでもホームレスの方からアグレッシブに話しかけられたこともあるし、日本に比べたら安全には気をつけて生活しないといけない。

ドイツのエリアによってもアジア人に対する偏見とか移民に対する考え方が違うと思うから、もしかしたらドイツ内でも住む地域によって経験が異なってくるかも。



ただメディアでは海外のテロや凶悪事件が取り上げられることも多いし、どうしても「海外=危険」というイメージが定着してしまっている部分もあると思う。

自分は「すごく怖がり」の部類に入ると思うんだけど、そんな自分でも慣れるとそんなに怖くなくなってる。

海外が怖いと思い込んでいる人は、留学前に海外のインターンシップとか国際学会に参加することで、ある程度の免疫力をつけることができるんじゃないかな。



ポスドクの給料のこと

ドイツポスドクの給料について


*🐢カメ🐢*:3.経済面や生活水準では、ドイツのほうが充実できるかも

ドイツは税金が高い分、社会保障がしっかりしてる。

例えば、健康保険。

ドイツの健康保険には公的(法定)と民間の2種類あって、自分は職場の関係で法定健康保険に入っているんだけど、家族も追加料金なしでカバーされるのがすごいと思った。

奥さんが通院したときも治療費はゼロでびっくりした。

日本やアメリカでは〇割負担とかだったから、その点でいうとドイツはありがたい。



給料に関して言えば、国と都市の水準があるから安定した給料がもらえる。

今の研究機関では紙面上の月給は4700 Euroくらいで、税金が引かれた後は3000 Euroくらいになるって言われた(ちなみに給与の交渉をする余地は一切なさそうな感じだったからしなかった)。

結婚しているか子どもがいるか、とかでも税金率が変わってくるらしい。

ドイツでの税金後の大体の給料の予想はこのサイトからできます:
https://www.bbx.de/grossnet-wage-calculator-germany/



自分は奥さんと2人暮らしだから大きめ(60~70平米くらい)のアパートを探したけど、水道・ガス・電気などのコミコミ家賃が1300~1400 Euro ほどになりそう。

残りのおよそ1600〜1700 Euroで生活することになるけど、食費、携帯料金、ネット、交通費とかを差し引いても、よほどの贅沢をしなければ手取額で暮らしていけると思う。

(まだ見えてない費用とかあるかもしれないけど。。。)



物価に関してはアメリカと日本よりも全体的に安い気がする。

特にチーズやフルーツは種類が豊富で比較的リーズナブルだし、健康意識が高いのかBio(ビオ)と言うオーガニック食材も広く普及している。

甘くて美味しいメロンが3Euro(およそ360円)で売られていて、我が家はメロン祭りです。(笑)

反面、日本食はかなり高い。。。

そしてアメリカよりも日系スーパーはかなり少ない。。。

アメリカみたいに日系スーパーでなんでも揃うっていう感覚でいると、ドイツは厳しいかも。



大体の物価の予想はこのサイトで世界中の2つの都市を比較できます: https://www.numbeo.com/cost-of-living/



所属ラボのインド人の同僚(ポスドク2年目)は最近2人目の子どもが生まれたけどなんとかやっていけているらしい。

奥さんは働いていないらしいから、ポスドク1人の給料ですごく節約すれば夫婦+子ども2人でもなんとかやっていけるんじゃないかな。



あとドイツだと子ども1人につき、毎月 200 Euroほどの手当が国から出るらしい。

しかも子どもが18歳になるまでもらえて、外国人でももらえるんだって。 https://www.yappango.com/faq/germany04.html

既婚者や子どものいるポスドクの方は、ドイツのほうがアメリカや日本より安定した暮らしができるかもしれない。



アメリカのポスドク給料事情も気になるな~。

アメリカのトップ研究機関で働くポスドクの給料っていくらくらいなの?

その給料だと1人暮らし、夫婦暮らし、家族暮らし、どういう状況の人ならやっていける感じなのかな?



アメリカポスドクの給料について


*🐻タヌキ🐻*:ドイツ素晴らしすぎるよ~(泣)

アメリカのトップ研究機関のポスドクの給与は実はすごく良いわけではない。苦笑

日本円でいえば540-650万といった額になるけど、アメリカの社会保障制度や家賃を考慮すると、感覚でいえば日本の首都圏だと、400-450万、地方だと330-350万ぐらいの感覚ではないだろうか?


アメリカのバイオ系ポスドクの給料はNIHの給与規定に沿っている。

そのNIHの給与スケールだけど。NIHの公式サイトで確認できる
https://www.niaid.nih.gov/grants-contracts/salary-cap-stipends

経験年数 年収 月収
Postdoc 0 50,004 4,167
Postdoc 1 50,376 4,198
Postdoc 2 50,760 4,230
Postdoc 3 52,896 4,408
Postdoc 4 54,756 4,563
Postdoc 5 56,880 4,740
Postdoc 6 59,100 4,925
Postdoc 7 61,308 5,109


多くの大学がこんな感じかな。これはあくまでNIHから出せる額ということになっているので(合ってるかな?)、別ソースの予算からお金を持ってくればこれ以上というのもあるみたい。


機関によって規定されている場合もある。例えばスタンフォード大だと一律$60,000になっているし、他の研究機関でも上記の額に上乗せしている場所は結構あると思う。


カリフォルニアでは最低賃金が改定されるので、2020からは最低でも$54,000スタートになる(切実)。2022までには$62,000まで上がるから、西海岸来るなら2021年以降は良いタイミングだと思う。


もう一つ大きく影響しているのは、福利厚生、もはや見えない給与ですね。


アメリカは医療保険が高いので、福利厚生で注目すべき項目は医療保険だと思う。


UC系列とかNIHとか大きな組織は結構いいみたい。

受け入れ先の教授にいきなり福利厚生を聞くのは気が引けるかもしれないから、この場合は受け入れ研究機関のHuman Resource (HR) Sectionとかのwebサイトで調べて、それでも見つからなかったらHRのコンタクトにメールしてpdf版のパンフレットを送ってもらうのは可能じゃないかな?



パンフレットを最初見ても???だと思う。

凄く長いし、アメリカの医療保険のシステムは複雑だから、過去留学した経験のある人に絶対聞いたほうが良い。


独学なら、パンフレットを見るにあたって、Deductible, copay, PPO, HMOなどのキーワードの意味を事前に調べてから読めば、結構理解しやすいと思う。


まとめると、影響してくる要素は4つほど。


  1. NIHの給与スケール
  2. 研究機関で規定されている金額
  3. 各州の最低賃金の法律
  4. 加入できる医療保険のプラン


これらが相互作用して現地の生活水準が決まる感じ。

まず、NIHのスケールはポスドクとしての最低賃金と考えてもいいかもしれない。

そのあとに、研究機関や州の最低賃金がNIHよりも高ければ、NIHの額から$2000~$10,000上乗せされるイメージ。殆どの場合上乗せされないけど。



単身で行くなら、NIHの給与スケールでやっていけると思う。

地方なら1ベッドルーム借りられると思う。

大都市ならルームシェア。といった感じかな。


配偶者、子供を連れていくなら、生計建てられない地域はあるからそこは事前に調べて、無理そうならその地域は断念して、他にポスドク生活を継続できそうな地域を探すことをお勧めする。

タヌキのケース(妻and子供二人)だと南カリフォルニアは初年度赤字です、来年は賃金があがるからギリ黒字と予想。



*🐢カメ🐢*:確かに、子ども手当の有り・無しは子育て中のポスドクにとっては大きいよね~。

アメリカだとほとんどの場合車が必要になるし、車の保険と健康保険が結構高いからね。

健康保険の問題が、2020年のアメリカ大統領選挙の候補者の間で話題になっているけど、どうなるかは誰にも分からんしな~。




最後に


*🐢カメ🐢*:じゃ~最後の質問!

タヌキは今、アメリカに留学中なわけだけど、留学前の自分に振り返って、要らぬ心配だったなって言えることはある?反対に、ここはもう少し考えておけばよかったなってこととか。

海外留学を検討している人にとっては、現地に行ってみないとわからないことも多いし、特に留学前は不安や心配が尽きないと思うんだよね。



*🐻タヌキ🐻*:うむ。難しい質問だね。

色々書いてみたんだけど結構言いたいことがあるからまとめてみた。



①キャリアが狭まるのはいらぬ心配

まずはキャリアが狭まるという心配かな?これはアカデミアにおいても企業就職においてもいえるね。

確かに留学すると、新卒での就職というカードを失うことは間違いないよね。

でもそれ以外に増えるカードは増えた気がする。


アメリカの研究機関で何年も務めることができたら、アメリカで次の仕事を見つけるっていう道も見えてくるかもしれないし、海外の一流研究機関で仕事をこなしたというのは、何より実力の証明になると思う。


それがどのように新しいキャリアにつながるんだ?と思われるかもしれないけど、それはタヌキが実験モルモットとなって今後数年かけてお伝えしたいと思います。笑



②子供が現地に適応できないはいらぬ心配


よく「子供は大人よりすぐ適応するよ~」って聞いてたんだけど、正直信じられなかった。

うちの子供は結構シャイなタイプだし、日本にいた時でさえ新しい環境になると固まるような感じだったから。

でも実際現地の学校に行ってみると、最初の2,3日目は嫌がってたけど、そのあとは何なら日本の学校より楽しそうにしている。


アメリカ人とのコミュニケーションに四苦八苦している大人とは全然違うよね。

多分大人とは根本的に脳の作りが違うんだと思う。

子供が現地に適応できないっていうのは完全にいらない心配だった。



③常にポジティブじゃなければいけないわけでもないと思う


あともう一つあえてこの記事を読んでくれていて、かつ留学に不安を抱えている人に言えることがあるとしたら。 

「留学たのしみ~」状態で行くわけではない人もいるっていうことかな。



なんとなく留学って過度にポジティブなキャンペーンされがちだなって個人的には感じていて、アメリカ行きが決まった時も周囲から「楽しみだね~」って言われることが良くあった。

でも当事者としては正直不安なことの方が大きかったし、「逃げたい」って思う瞬間も数えきれないぐらいあった。



何が言いたいのかというと、不安とか心配事があるっていうのは「消さなければいけない」事ではなくて、むしろ自然な反応だと思う。変に押し殺す必要はなくて、心配は尽きないけど、それでも行きたいっていう気持ちがどこか心の奥でうずいてるなら、そのぐらいでも良いんじゃないかな?



④もう少し考えておけばよかったという部分は節約。

最初の1-2か月でお金を使いすぎたので、アメリカ生活スタートアップの節約方法をもっと考えておけばよかったよ。


そして、それについては現在執筆中なのでこうご期待!!


カメはどう?いらぬ心配事だったな~ってことはある?




*🐢カメ🐢*:お~!節約記事、期待してます!

タヌキの子どもたちがアメリカで楽しく過ごせているようで何よりだな~。

子どもたちの成長をこれからもタヌキらしく温かく見守ってくれ~。



俺にとっての要らぬ心配はなんだったろうな。。。

あまり共感を得られないかもしれないけど、俺の場合は「マイノリティーになること」かな。



幼少期から大学卒業までアメリカにいたわけだけど、自分の育った地域は白人が99%って感じで学校でもアジア人が数人いるくらい、日本人は俺と姉の2人だけだったから、タヌキのいるカリフォルニアとは違うよね。

中学の頃は学校の廊下を歩いているだけで体当たりをくらって “ching chong chan!”みたいな謎のアジア語を捨て台詞にあざ笑われることはしょっちゅうあった。

悪気のないクラスメートからも「カメの鼻はなんでそんなに小さくて低いの?」みたいに聞かれることもあって、夜寝る前に自分の鼻を洗濯バサミでつまんで高くしようとしていた時期もあったよ。。。



そんなこんなだったから、自然と自分がマイノリティーだということを意識する(させられる)ようになって、子どもの頃から大学卒業するまで「どうやったらアメリカ人から受け入れてもらえるか?」ということを常に考えていたと思う。

それで一度自分のルーツである日本に住んでみようと思ったんだ。



日本に来て、何もしなくても周りに溶け込める状況を初めて経験して、「なんて楽なんだ」と思った。

これはたくさんの人とワイワイ会話ができて溶け込めたというわけではなくて、道を歩いていて見た目だとマイノリティーではない状態に心地よさを感じたんだ。



そんな居心地の良い日本を後にしようとしている自分に矛盾を感じたし、正直海外に行くことは怖かったけど、結果的には要らぬ心配だったと思えるよ。

今いる国際的な研究所では日本人ということでリスペクトされている感じがするんだ。

それはきっと、この研究所に過去に在籍していた日本人の先輩方が素晴らしい人たちで信頼を得ていたからなんだと思う。



先輩たちが作り上げてくれたこの環境と、残してくれた功績に感謝しているよ。

俺もこれから来る未来の日本人研究者のためにがんばらないとな~。


*🐻タヌキ🐻*なんかすごく良い話きいたわ~。


日本人の先輩たちのお陰というのはタヌキも感じているよ。やはり昔からパイオニア達が苦労しながらも日本人という看板を背負って頑張ってくれた遺産があるのを感じるよね。



*🐻タヌキ🐻&🐢カメ🐢*:今回は、留学前の不安要素になり得る「必要な語学力」「治安・安全性」「給料」などについて、脱線しながらでしたが、本音で話し合ってみました。

ポスドク先に海外の研究所を選んだ僕らですが、日本と海外を比べて「海外留学のほうが日本で研究するよりも良い!」と言っているわけではありません。

それぞれにメリット・デメリットがあると思います。

しかし、海外留学に興味はあるけれど、「海外は怖い」「結婚しているから・家族がいるから留学できない」「語学力が足りないから留学できない」などの理由で断念されている方がいらっしゃれば、今回の記事が参考になるとうれしいです。

自分に合う研究スタイル、自分が研究者として最も成長できる場所を、日本海外問わずに探してみてはどうでしょうか。

少しでも海外留学に興味をお持ちならば、留学経験者から直接話を聞いてみると新たな道が見えてくるかもしれません。






タヌキとカメ以外の経験談も読むと海外留学のことをもっとリアルに知ることができると思います↓↓











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