研究室の選び方で失敗しない方法~ブラック研究室を確実に回避~




大学院やポスドク先の研究室選びは、研究人生を左右する重要な選択ですよね。


研究面でもパーソナル面でも、自分に合う研究室を見つけることができればそれが最高です。

しかし、現実的には、「いかにブラック研究室を避けるか」ということが最初に抑えておくべきポイントだと思います。



つまり、失敗を回避するリスクマネージメントです。



アンケートの結果、日本ではブラックとホワイトの研究室が約25%ずつ、そして残りはグレーのようです。

海外ではブラック研究室が少ない傾向かもしれません。






研究室の下調べをしないと、ブラック研究室を選んでしまうリスクがあります。








グレーな研究室であれば、自分自身を変えることで環境に対応し、なんとかうまくやっていくことができるかもしれません。




しかしブラック研究室では、論文のオーサーシップ、働く時間、要求されるデータ、人間関係などでトラブルが起きやすく、ラボメンバー全員が辛い状況を経験すると思います。




自分自身を変えてなんとかできるレベルではないということです。



ブラック研究室に入ってしまったらそこをすぐ出ていく、ということもできますが、引越しやビザ申請などがあると精神的にも物理的にも難しくなり、後悔が残ります。


そう考えると、「ブラック研究室を避ける」ということは、研究室選びの上で最重要ではないでしょうか。



しかしながら、研究室がブラックかどうかを外から見分けるのは簡単ではありません。

外の顔は素晴らしいのに、ラボ運営はかなりブラック、というケースもあります。

ラボページの業績欄や1度や2度会っただけでブラック度を見抜くのは難しいです。



では、どうすれば候補のラボがブラックか否かを見分けられるのでしょうか?


僕が実践したのは「過去、その研究室に所属していた方々にメールをして情報収集する」ということです。

現在のラボメンバーではなく、過去のラボメンバーを選んだ理由は、「教授との利害関係が弱まっている」からです。


そのことにより、正直な感想を聞ける確率が高いと思いました。



メールを書いているときは正直、「こんな見知らぬ学生に返信してくれる人なんているのか?」と思っていました。



でも世の中には優しい方がいっぱいいました。



僕もびっくりしたのですが、コンタクトをした全員からご親切な返信をいただきました。




返信いただいた方の経験談は情報の宝庫で、研究室に応募するかどうかの参考になりました。

「情報ゼロ」 vs. 「情報が少しある」のとでは、大きな違いです。



みなさんも真剣に研究室の決め方について考えているのであれば、最低これくらいの情報収集をすることをおすすめします。



このブログを読んでくださっているあなたにも、ブラック研究室には行って欲しくありません。



なので、僕がブラック研究室を見分けるため、送ったメールを公開します。




(そのままコピペで使うのはお控えください。ご参考までにしていただけると助かります)。


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XX様へ、

初めまして。
YY大学の博士課程に在籍中のカメと申します。
突然のメールをお許しください。

私は現在、YYの研究をしております。
卒業まであと1年残っているのですが、博士課程卒業後の進路のひとつとして、ZZ先生の研究室に応募することを考えております。

ZZ研の過去メンバーページにXXさんがZZ研でポスドクをされていたと記載されており、是非XXさんのZZ研でのご経験をお伺いしたく、連絡いたしました。

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*省略*
ちょっとパーソナルな経験を書き、「研究員と教授のフィットは重要だと感じています」という文面を書きました。
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もしよろしければ2つ質問があります。XXさんの率直なご意見をお聞かせいただけますと、卒業後の進路を決める際に大変参考になります。


1.ご友人や後輩の方に聞かれたら、ZZ研をおすすめすると思いますか?もしくは実際におすすめされたことはありますか?
できましたら、おすすめする(もしくはしない)理由も教えていただきたいです。


2.ZZ研では、どのような研究員がうまくやっていましたか?
ZZ先生と相性が良かった、もしくは良くなかった研究員の共通点など、思い浮かぶことがあれば教えていただきたいです。


上記2つの点とZZ研の利点や気をつけるべき点などをお聞かせいただけましたら、ありがたく存じます。

もしもお答えにくい場合やお忙しい場合は、このメールにご返信いただかなくて結構です。
突然のメールにて大変失礼いたしました。

どうぞよろしくお願いいたします。

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英語版も公開します。



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Dear Dr. XXX,

Hello, my name is カメ.
I apologize for the sudden email.

I am a PhD student at YYY, working on YY.
I  plan to finish my PhD in about a year, and am starting to look for postdoc labs.
One of the labs I am strongly considering is ZZZ's lab.

I found from ZZZ's lab website that you were a postdoc in ZZZ’s lab, and was wondering if you could share your experience.
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*省略*
ちょっとパーソナルな経験を書き、「研究員と教授のフィットは重要だと感じています」という文面を書きました。
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I would greatly appreciate it if I could ask about your experience and general opinions about ZZZ’s lab.

One thing I would like to know is would you recommend the ZZZ lab to one of your friends?

In addition, I'm wondering whether there were shared characteristics of postdocs that seemed to work well with ZZZ?

Thank you so much for even taking the time to read this email.
If you feel uncomfortable sharing your experience, I completely understand and please disregard this email.

Best regards,
カメ

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是非参考にしてみてください。



このメールを送るタイミングは「これから応募しようかな」と思っているときがベストだと思います。

先輩や同期のポスドク探しの経験を聞くと、採用が急速に決まるというケースも少なくないです。


そのような場合だと、途中でネガティブな情報が入ってきても「あ、やっぱりあなたのところに行きたくありません」とオファーを断るのはかなり難しいと思います。


研究室選びでは勢いが重要だと思いますが、候補の研究室がブラックではないということだけは最低限、見分けておくことをおすすめします。




僕は今、ポスドク先の研究室を探している最中なので、研究室の選び方で悩んでいる方は一緒にがんばりましょう。



あなたに合う研究室が見つかりますように!


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関連記事:
タヌキの研究室の選び方ガイド
ポスドク先への応募メールの戦略はコチラ


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2 件のコメント :

  1. もう海外ブラック(データねつ造や表には出ない研究倫理にもとる行為および研究不正@Biology)に陥ったあとですが、このブログも参考に次の就活頑張ります。
    私の反省点ですが、もしブラックに嵌ったとしても直近の所属からの推薦状は重要なので、水面下で嫌がらせされないよう上手く立ち回ることが重要だと思います。まあ、これが難しいんですけどね。 

    返信削除
  2. 匿名さんへ、

    ブログを読んでいただき、ありがとうございます。この記事が少しでも匿名さんの次の就活の参考になれば嬉しく思います。研究倫理に反する行為が行われている研究室に在籍されていて、ストレスフルな状況と察します。次は匿名さんに合う研究室が見つかることを願っております。僕もこれから海外ポスドクを始めるところですが、学内で尊敬する教授からいただいたアドバイスは「少しでも不正の気配を感じたらすぐに出ていく決心をしたほうがいい。」というものでした。大変な状況だと思いますが、どうかご自愛ください。幸運を祈っております。

    ーカメ

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