今回はドイツの研究スタイルと研究環境についての個人的な印象を紹介します。
僕は日本でテクニシャンとして医学系研究所の研究室に在籍をした後、地方大学院で5年一貫性の博士課程で博士号を取得しました。
現在はドイツに引っ越して5カ月が経とうとしていますが、ドイツと日本の研究スタイル、研究環境の違いが少しずつ見えてきました。
まだドイツに来て長くはないので第一印象となりますが、今後もっとドイツの研究環境のことを良く知ることができたらこの記事を更新したいと思います。
ドイツの研究者は9時~5時で働いているのか?
日本:
- 9時~5時で働く人はほとんどいない。
- 週末もほとんどの人が来ている。
- ボスや上司よりも早く帰ってはいけないという空気が流れている場合が多い。
- 長時間労働が得意であれば上司から信頼を得られる。
ドイツ:
- 9時~5時で働く人はいる!大体は結婚していて子供がいる方。そして、途中に子どもを迎えに行ったり、抜け出すことも結構自由にしている。(自分が在籍しているラボだけかもしれませんが)。
- 博士学生とか外国から来ている人は19:30ごろまでいる人が多い。朝は遅めの印象。週末はパラパラと来ている感じ。
- 週末は全く来ない人もいる。
- 多く働けば働くほど教授からの評価が上がる感じはない(それよりも成果重視)
9時~5時でも成果が出るからくり
「労働時間が少ないドイツ人はどうやって成果を出しているのか?」
これにはいくつかの理由があると思いますが、研究室や研究所の体制が大きく関わっていると思います。
- マックスプランク系列でお金が潤っているからかもしれないが、雑用業務を研究員や博士学生がしないような工夫が施されている。
- プレートの準備、良く使うバッファーの調整はテクニシャンの方が準備してくれている。
- ポスドク(もしくは終盤の博士学生)とテクニシャンがペアになって仕事を進める場合もある。たいていは長くいる人にテクニシャンが専属としてついて仕事をまとめる際に手伝う。
- コア・ファシリティがしっかりしていて、次世代シーケンス解析などを頼みやすい。
- 動物の世話をする係の方がいる。
- 使ったビーカーなどを洗っていただけるシステムもある!
- テクニシャンの方によっては、研究にそれほど思い入れがない方もいるのでミスが出る場合もある。これは仕方がない。なのでテクニシャンの方に実験の一部を頼む場合はそのようなミスに備えて、実験のコントロールや確認作業を入念に組み込む必要性がある。
- 自分も少しだけテクニシャンの方に手伝ってもらったことがあるが、すでにいくつかのミスは起きている。しかし、それを検出するような確認作業を組み込んでいたので、ミスに気付くことができた。しかしそれでもテクニシャンの方に少しでも手伝っていただけるのは全体的に大きなプラスになっている。
- 博士学生にとっては技術的な学びを経験できないかもしれない。(次世代シーケンス解析など)
とりあえずドイツの研究室に在籍してからの第一印象は博士学生や研究員に対するサポートスタッフが多いということです。
このようなサポートがあれば、働く時間を少なくても成果が出るのかもしれません。
自分の場合はまだいろいろ研究テーマを試している段階なのでこの体制をそれほど活用できていませんが、研究テーマが膨らんできたらもう少し恩恵を受けられると思います。
研究の進め方や効率の良いプロジェクトマネージメントのからくりなどは今後探っていきたいと思います。
追記:
おそらくどこにいても「研究の進め方の自主トレ」を自分なりに続けることはプラスになると思うので、過去記事も是非参考にしてみてください。
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