Q. 初めまして。博士課程在学中の大学院生です。
日々実験や書類などのデスクワークに追われてしまい、なかなか自分でコントロールできていない感じから焦りを感じています。
タスク管理やスケジュール管理をどのようにされておられますでしょうか?
A. こんにちは。 ご質問いただきありがとうございます。
「タスクに追われ、自分でコントロールできていない感じ」、よくわかります。
僕も博士課程在学中にタスクがキャパオーバーしてしまった経験があり、それ以来、タスク管理を工夫するようになりました。
きっかけとなったのは、TA業務、重要な実験、論文紹介、研究進捗報告、外部からのビジター接待・研究室案内、休暇中のラボメンバーの動物の世話など、大量のタスクが重なった事でした。
その時にはかなりストレスを感じ、気持ち的にもきつかったです。
性格的に断るのが苦手なタイプなので、何か頼まれるとついついOKしてしまい、自分で自分の首を絞めているような状況でした。
しかし全てにOKしていると、本当に自分がやらないといけないことができなくなってしまうことに気づきました。
僕が学ばないといけなかったことは「何かを頼まれた時には『断る』 という選択肢も自分の中に持っておくべき」ということでした。
タスク管理に関しては、
①自分の目標達成にとって一番重要な作業・タスクを見極める(一番優先する実験を決めるなど)
②そのタスクをスケジュールに入れる
③その時間が奪われないようにする
④少しずつ前進していく
・・・が基本だと思っています。
基本ができているときには、心理的にそれほど焦りを感じていなかったと思います。
自分にとって難しかったのは「③時間が奪われないようにする」ことでした。
なかなかNOと言えない僕にとって「断ること」は勇気がいりましたが、具体的に次のような工夫をしました。
・その場ですぐにOKしない
頼まれると「あっ、はい。わかりました」と思わず口走ってしまい、あとあと後悔したことがあります。
魔法の言葉は「一旦、スケジュールを確認させてください」です。
本当に自分がやるべきことなのか、対応が可能なのか等を判断してから、相手に伝えます。
・断る練習をしてみる
自分のスケジュールや抱えているタスクの状況などを考慮して、もし断ると決断した場合には、「引き受けられない理由」をできるだけ丁寧に伝えるようにしています。
相手との関係を円満にするためにも大切だな~と考えています。
このように少しずつですが「断ること」を始めてみたら、「自分じゃなくてもよかったんだな」とか「断っても何も悪いことは起きなかったな」と思えるようになりました。
そして、自分の時間をもっとうまく守れるようになりました。
できれば引き受けたいけれど状況的に厳しいというような場合には、「相談させてもらうスタンス」を取っていました(例:デッドラインを伸ばせるか、僕ひとりだけでなく他の人のサポートも得られるか、など)。
いずれにせよ、大切なのは「自分の目標にとって一番重要なタスクに取り組む」ことだと思います。
それをないがしろにしてしまうと、焦りも強くなるような気がします。
続きまして、スケジュール管理についてですが、僕の場合はシンプルに手書きで手帳に書き込んでいます。
今の時代いろいろなアプリもあるので、時代遅れかもしれません。。。
ですが、いくつかアドバンテージがあると感じているので、この方法が手放せません。
+紙に書くのが好きなので、アプリよりも頭の整理がしやすい
+手書きのほうが(自分にとっては)記憶に残る
+ゼミ、論文紹介PR、プレゼンなどに参加していて、集中力が切れてしまったら、手帳のスケジュールを見返すことができる(スマホだとサボっていると思われる可能性があります)
+同上のシチュエーションで、計画を練っていてもノートを取っているように見える
+ネット・パソコン・スマホを使うと誘惑(twitter、ネットニュース、youtubeなど)が多いが、手帳だとスケジュール管理するしかない
。。。というのが僕のケースです。
アナログでいくかデジタルでいくかは好み次第ですが、いずれの方法でも、ご自身にとってよりしっくりくる方法を模索するのがベストだと思います。
質問者さまが少しでも焦りの感情から解き放たれることを応援しています。
カメ
A. 博士課程在学中の大学院生です。
コロナ自粛の今、博士課程の学生は時間をどう有効活用すべきだと思いますか?
Q. ご質問ありがとうございます。
コロナ自粛生活で大変なこともたくさんありますが、考え方によってはチャンスでもあると思います。
普段の生活では研究や勉強に追われて、このようにゆっくり考える時間はめったに無いかと思います。
一歩踏みとどまって、自分のキャリアや研究テーマについて再考してみてはどうでしょうか。
「自分は今、本当にやりたいことができているのだろうか?」
「自分が研究したいことを研究できているのだろうか?」
もし理想とのギャップがあるのであれば、軌道修正のためのステップを考えるといいと思います。
在宅勤務中に研究を進めたい場合は、研究の段階によってやるべきことは変わってくると思います。
研究の序盤:
・研究計画を練る
・文献調査で研究テーマの基礎知識を固める
・研究資金の獲得を目指す(学振など)
・研究に役立つスキルの習得(英語、プログラミングなど)
研究の中盤:
・研究の着地点を練る
・データ解析の効率化
・研究に役立つスキルの習得(英語、プログラミングなど)
研究の終盤:
・論文を書く
・就活
。。。などが考えられます。
とりあえずは一呼吸して、客観的にご自身のキャリアについて、そして研究テーマについて考えてみることがおすすめです。
カメ
Q. 研究室の整理整頓に関する質問です。
居室や実験室には共用物が数多ありますが、きちんと整理する人とそうでない人がおり、いつも特定の人のみが片付けに時間を取られているように感じます。
この問題を解決する良い策があれば、ご教授願います。
A. ご質問ありがとうございます。
残念ながらいい回答を持っていません。
何か言えるとすれば、どこの国でも起きているということと、人によって「整理されている」と感じる基準は違うということではないでしょうか?
というのも私は日本ではどちらかというと「散らかす側」でしたがアメリカでは「片付ける側」でした。
問題を解決しようとして何かアクションを取ると「片付ける人」が損をしがちです。
事態の深刻度(事故の原因になるなど)によって、どのように行動するかきめなければなりません。
実験の失敗や事故のリスクが低いのであれば、張り紙をするぐらいが良いと思います。アクションを取りすぎるとかえってストレスになります。自分が気持ちいいと思える範囲で行動するのが良いと思います。
中程度のリスクかつ、安い共用物であれば、マイ実験ツールを揃えるのもアリです。安価なものであれば小口の研究費を獲得して購入するのが良いです。学生さんでも応募できる研究費もあります。
深刻なリスク(怪我、高価な研究機器の故障、大規模な実験ミス)があるのであれば、上司に相談して言ってもらうのがベストだと思います。
タヌキ
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