最近こんなニュースが出てきました
名大、博士学生をフルタイム雇用−年俸300万https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00432807
大学院進学(修士・博士)に興味はあるけど、借金して取る価値はないのではないか?と疑問を感じるのは当然のことかもしれません。
博士課程のみんなの家計簿:JASSOによる統計
JASSOの統計によれば、博士課程の年間の支出は225万円です[1]。
支出内訳:
学費(授業料・修学費・通学費・等)
682,100円
生活費(食費・家賃・保健衛生・その他)
1,568,600円
合計
2,250,700円
それらの出費を何で賄っているかというと
収入内訳:
家庭からの給付
373,100円
奨学金
901,100円
アルバイト(TA・RA含む)
711,500円
定職収入・その他
953,500円
合計
2,939,200円
[1] 博士課程で人生終了!防衛線②「お金を借りすぎる前に考える事」
したがって、一般的な博士課程の学生は奨学金90万を借り、実家から37万ほど支援してもらい、年70万ぐらいのバイトと、謎の収入95万で生活しているわけです。この定職収入・その他って何でしょうね?
名大に限らず給料がある程度貰える大学院はあります。業界に入る前と後では見えてくる情報の量が全然違うんですよね。博士課程に入ると「あそこのXXではこういうプログラムがあるらしいよ~」とか噂が流れてきたり、学会で会った学生の名刺にリーディングプログラムと書いてあって調べてみたら給料のあるプログラムだったりと、実は色々な(お金をもらう)機会があるのですが、進学前には全く見えないのです。いや、もしかしたら、指導教官は知ってたけど、学生を逃がしたくないから教えてくれないのかもしれない...。
名古屋大学
年間288万円まだ人数や採用過程等の情報がありませんね。
リーディング大学プログラム
採用拠点数18件(H25年)
倍率は不明
注:
リーディングは文科省の補助期間が終わってしまったので(最終採択分が今年度一杯)、プログラムが何らかの形で継続されていても経済的支援内容は最初の頃とはかなり異なっていると思います。— A.Ishi (@hr205gs) October 2, 2019
去年から卓越大学院プログラムが始まっていますが、リーディングの最初の頃のような金額は出ないかも…。
産総研 リサーチアシスタント
https://www.aist.go.jp/aist_j/collab/ra/ra_index.html8万円(博士前期課程)
採用実績:修士197名、博士71名(ここより抜粋)
倍率は不明
理化学研究所 JRA
通勤手当:当研究所規定に基づいて支給(支給限度額:月55,000円)
倍率は不明
沖縄科学技術大学院大学
OISTの倍率は2014年入学の3期生の場合は231人の中から、27人が入学らしいです(倍率8.6倍)
https://www8.cao.go.jp/okinawa/4/kentoukai/4/3.pdf
https://www8.cao.go.jp/okinawa/4/kentoukai/6/3-1.pdf
日本学術振興会特別研究員
受け入れ研究機関:ほぼ全ての大学倍率:毎年およそ5倍
提出期限:4、5月※
本庄国際奨学財団 日本人大学院生奨学金
(2) 月額 18 万円を 3 年間
(3) 月額 15 万円を 4 年~5 年間
倍率はかなり高いです。このページから見るとわかります。
平成30年度の倍率は40倍ほどであることがわかります(日本人国内大学院生枠283人中7人採用)。
※年によって変わる可能性があるので絶対に自分で調べてください。
吉田育英会 ドクター21
給付金額:20 万円/月。その他海外留学支援等あり。
期間:3年以内
採用者数5名(年間)
提出期限:4月※
※年によって変わる可能性があるので絶対に自分で調べてください。
とても良い制度で学生時代は本当にお世話になりました。もっと知名度が上がると良いのですが。— Yutaka Saito (@ytksai) October 3, 2019
東京電機大学
https://newswitch.jp/p/22216給付金額:20 万円/月。年間50万円までの研究費。
期間:3年
公益財団法人山田長満奨学会
東京理科大学博士課程対象経済支援制度
https://www.tus.ac.jp/life/scholarship/doctor.html期間:3年
採用者数12名程度
50万円(博士課程の学費相当)
倍率不明
青山学院大学若手研究者育成奨学金
授業料年額の全額一貫制博士課程の3年次~5年次(3年間)
東京工業大学つばめ博士学生奨学金
https://www.titech.ac.jp/news/2019/043550.html博士後期課程1年目には対象者全員に一般奨学金(年額480,000円)
優秀な学業成績を修めた学生に特別奨学金(年額635,400円)
総研大
1年次・2年次:85万円以上
3年次・4年次・5年次:99万円以上
https://www.ims.ac.jp/education/sra.html
SRA制度
230万円程度(年額)支給予定
— Ryota IINO 飯野亮太 (@ryotaiino) October 1, 2019
遺伝研
https://www.nig.ac.jp/nig/ja/phd-program/main-page-top/sien
1年次・2年次:55万円
3年次・4年次・5年次:60万円です
(学振の特別研究員や国費留学生を除く)
なお、この制度は、総研大生でなく、他大学院に所属して遺伝研で研究する場合にも(特別共同利用研究員制度)ほぼ適用されます。— Hitoshi Sawa (@dpyNonunc) October 1, 2019
生理学研究所
https://www.nips.ac.jp/graduate/support.html
年額約100万円
入試の成績が極めて優秀な学生は年額約170万円
優秀な学生は年額約140万
基礎生物学研究所
https://www.nibb.ac.jp/univ/examination/univ_specialty.html
日本化学工業協会
https://www.nikkakyo.org/news/page/7786
化学人材育成プログラム
月額 20 万円を修了時まで、原則 3 年間給付
化学系限定ですが、日本化学工業協会の「化学人材育成プログラム」も条件は良いです。月額20万で返済無しの奨学金です。— 白菊 (@Shiragi9) October 1, 2019
化学系の企業による支援ですが、この奨学金を受け取ったからといって、関連企業への就職が強制されることはないようです。https://t.co/3FfEW9VHmw
東北大学 学際高等研究教育院
https://www.iiare.tohoku.ac.jp/support/
3年間月額20万、研究費年間150万以下、学振取得時には学費免除
東北大学も学際高等という給付プログラムがあります。3年間月額20万、研究費年間150万以下、学振取得時には学費免除。https://t.co/auO5G9ZZMt https://t.co/fHJnfXTGUH— Akira IGARASHI (@akiraigarashi) October 1, 2019
ありがとうございます!多くの東北大生がこのプログラムに助けられていたと思います。先のツイートに書き忘れましたが、学振取得時には学費免除に加えて、学振でもらえる研究費と学際高等の研究費との差額分が補填されるという仕組みでした。— Akira IGARASHI (@akiraigarashi) October 3, 2019
中谷医工計測技術振興財団
https://www.nakatani-foundation.jp/business/scholarship/
修士で10万円/月。
博士で15万/月
URL付けるの忘れてました。修士で10万円/月。博士で15万/月。給付されます。— なかやま (@nkym1995) October 3, 2019
そして、最大の特徴はB4から申請可能で、最長M1からD3(医学だとD5?)まで奨学金を受給できます!!https://t.co/KG1vfzPBmu
長谷川財団奨学金
https://www.hasegawafound.or.jp/scholarship.html
給付型で月額3万円
長谷川財団奨学金— ノアール(◜௰◝) (@19_morrr) October 3, 2019
給付型で月額3万円です。
D3の時頂いていました。採用は各大学上限1人という狭き門であり、もちろんこれだけで生活できるというものではありませんが私は非常に助けられました。
大学院生は是非アプライしてみてはどうかと思います。 https://t.co/C3Zcu8qhRr
武田科学振興財団
豊田工業大学
(1学年4名程度ですけど)— 鈴木 誠也 (seiya suzuki) (@SSeiya60260) October 4, 2019
実質博士学生全員がもらってる豊田工業大学の給付奨学金(12.2万円/月&授業料半額)も入れて頂きたいですm(_ _)mhttps://t.co/PIt4MgH4ES
ちなみに、豊田工業大学は名古屋市天白区(豊田市じゃないよ)にあります。 https://t.co/cMyLdHIOv4
財団として発足して間もないらしく交流会など奨学生からの要望が実現される可能性もそれなりにあるようです。— クロ@ついーとあかうんと (@hmr_ut) October 4, 2019
(ただし、推薦者募集の大学が指定されており現状では指定外の大学からは応募できないという制限はあります。)https://t.co/GiQ84wRKKs
高知工科大学
https://www.kochi-tech.ac.jp/campus_life/special/masters.html
高知工科大学の博士後期課程には入学検定料・入学料・授業料の全てを全額免除した上で月15万円を支給する特待生制度があり、日本人でも対象となります。https://t.co/Jc9RKXUeZp https://t.co/bneZDMs78E— Nobuhiro Mifune (@NobuMifune) October 4, 2019
横浜国立大学
https://www.eis.ynu.ac.jp/category05/support.html
授業料免除
全額免除(各学期) 267,900 円 半額免除(各学期) 133,950 円
環境情報学府女性院生研究支援奨学金
月額 3 万円× 5 ヶ月(予定)
支援の数および規模を考えると、日本の大学院博士課程は学振DCに大いに頼っているのが現状ですね。次にリーディングプログラムでしょうか。どちらも文部科学省ですね。
理研の採用実績は調べきれていないですが、とても気になります。産総研の採用人数結構いますね。OISTの毎年の採用人数は少なめですが、総数では産総研と同じぐらいでしょう。
気になるのがドクター21や、OISTなどの大型給付プログラムの倍率が他の給付型奨学金に比べれば低いことです。本庄国際奨学財団給付金は40倍であるのに比べ、OISTの倍率は8~10倍になります。給付額と倍率は必ずしも比例するわけではないことになります。それよりも申請の時期や書類準備の労力、知名度がかなり影響している可能性がありますね。
したがって、博士課程に進学する時にはじっくり考えて、年間を通じていかに多くのプログラムに申請できるかが運命を分けるのかもしれません。よく調べ、対策してから応募しましょう。
学部生であればこれらの研究機関や、学振採用実績のあるラボに移動することも一つの考え方ですね。学振は合格者リストがあるので、どんな大学から出ているのか見てみるのもいいと思います。
(B)500万円以上2,000万円以下
(C)500万円以下